ケープタウンの中心地から車で10分くらいのところにあるランガという街。ケープタウンでは最も古い旧黒人居住区で、どちらかといえばアパルトヘイトの負の遺産であるスラム街で知られています。今回futariがランガを訪れたのは、他でもない、料理教室を体験するためです。場所は「EZIKO RESTAURANT」という名前で、レストランの厨房をお借りしての教室のようです。
ランガの治安があまり良くないことは聞いていたので、レンタカーの運転中もなるべく信号などで停車することがないようにスピードを調整しながら、あらかじめ案内された場所へ向かいます。前日までに目にした、中心地の観光スポットや欧風の美しいワイナリーとはガラリと様子が変わって、一本でも道を間違うとスラム街に迷い込んでしまいそう。なんとか、EZIKO RESTAURANTの可愛らしい看板が見えてほっと一安心。すぐに出迎えにも来てくれました。
ケープタウンの滞在中、私たちは観光客向けのレストランやワイナリー でのお食事しかしたことがなくて、現地の方々がどのような食事をしているのか、実は見当がつきませんでした。教室で作るメニューの内容も事前には聞いていなかったので、半分ミステリーツアー気分。完成形が全く想像がつかないままですが、とにかくスタート。
まず初めにビーフシチューのようなものを作ります。とは言っても、スパイスを轢いたり、骨からだしをとったり、といった手順は無し。牛肉を炒めたあと、スーパーの即席品コーナーで売っていそうなクノールのBrown Onionの粉を溶かして、これにていったん完成。
次は、大量のスターチと水を大きなステンレスの鍋に入れて火にかけ、鍋の中で捏ねるようにして混ぜていきます。これを両手で拳くらいの大きさの団子のような形に丸めます。別のフライパンでは、玉ねぎやキャベツをみじん切りにしたものに、塩胡椒とチキンスパイスを入れて炒め合わせます。スターチの団子の真ん中に炒めた野菜をギュッギュッと入れ込んで、最後は団子を揚げ焼きに。揚げ焼きされた団子に、先に作っておいたビーフシチューをドロンとかけて、完成でした!
お味は・・・諸手を挙げて拍手!とは言い難いものの、一緒に作ってくれたスタッフの皆さんが美味しそうに食べているのを見て、なんだか嬉しくなりました。教えてくれたレストランのシェフも誇らしげ。みんなの様子から、日々の食卓でみんなが食べているもの、というよりも、レストランで提供する特別な食事、という印象が窺えました。
肝心の料理の名前は忘れてしまいましたが、レストランの厨房でまかない作りをちょっとだけ手伝わせてもらったような感じでもあり、共同作業を終えた達成感とチームの一員に入れてもらえたような温かな雰囲気で、なんだか満たされたひと時なのでした。