旅先での料理教室も回を重ねてきたけれど、futariで訪れた幸せの国ブータンでもそれを実現することができました。どっぷりと土地の文化に浸かりたくて、ファームステイを体験させてもらうことに。ステイ先のホストマザーと一緒にブータンのローカルフードを作りました。
タイやベトナムなどのアジアの国で体験したように、レシピがあるわけでもレッスン時間が決まっているわけでもなく。でもこれがきっと本当に家庭で食べられている手料理なんだろうなあ、と感じることができました。だってバンコクでは、タイ人はパッタイはあまり好きじゃない(外国人が好きなだけ)と聞いたことがあるし。それに比べると、THEローカルを体験できているようでそれはそれでとても興味深い。
ホストマザーと一緒に作ったのは、まずブータン人の国民食、チリチーズ。チリといっても粉末ではなくてそのまんまの唐辛子、赤いものと緑色のものの両方を使い、チーズと一緒にこってりと煮込みます。ブータンでは、チリは香辛料ではなく野菜のひとつという位置づけ。チーズでまろやかが味わいにはなるけれど、それでも唐辛子には変わりないので、やっぱりなかなか辛い。冷蔵庫からホストマザーから取り出したチーズ(まるでバターのようにブロック状のもの)はインド製。made in Bhutanなのかなという期待は即裏切られました。地理的に近いからか、ビザが不要だからか、ブータンで外国人というとインド人が最も多いような印象。きっと二国間での貿易も盛んなのだろう。
実はブータンの食事は世界一辛い、という噂は当初から聞いていて、実は私たち日本から暴君ハバネロのポテトスナックをお土産にと持っていきました。川沿いでピクニックをしたときにブータン人に振る舞ってみたところ、拍子抜けしてまうくらい、彼らにとっては全くもって辛くないらしい・・・。
翌日には、antieと一緒にブータンのsakeをお米から作ったり、薪で火をおこしてポン菓子を作ったり。都会にずっと暮らしていると、薪を割ることも火を付けることもままならない。なんて甘やかされているのだろう。「生きる力」ではブータン人には絶対に敵わないなと降伏してしまいます。不便だとも感じない。比べなければわからない。飛んでいるハエだってまったく大した問題じゃない。いかに相対的な判断や基準で生きているのか。自分で選択しているようでいて、やはり周りや環境に大きく影響されて生きているんだな、ということに気づかされました。
antieとは言葉が通じないけれど、あったかい温度はじんわり伝わってくる。なんとか伝えようとしたブータンの言葉で「おいしい」=「シムトゥクトゥ ドゥー」。発音が難しくてなかなか通じてなかったかもしれないけれど。ブータン料理を日本で食べられる機会はとっても少ないから、せっかく教えてもらったことを家に帰ってからも再現してみたい。というわけで、帰国前には、ローカルマーケットで量り売りのチリを調達したfutariだったのでした。